最近は名ばかりの管理職問題、サービス残業問題、セクハラ、パワハラ問題などの労使間トラブルが多くのメディアをにぎわしています。これに伴い、必然的に労務管理の重要性への認識が否応なしに高まってきています。
一言で労務管理といっても、労務管理は採用から退職までのあらゆる項目にわたります。これらすべてに関連し、さらに個別労働契約の内容としての効力を持つのが「就業規則」です。
就業規則を整理することは単に正常な業務運営のための規範となるだけでなく、個別労働紛争へのリスクマネジメントとしての強い側面を併せ持ちます。会社経営にとって最優先事項のひとつと言えるでしょう。
当事務所では、各項目について経営者の方に十分なヒアリングをさせていただきながら労働法リスクを予防できるようにし、かつ企業オリジナルの就業規則を作成、改定させていただきます。
「労働条件」、「服務規律」を周知、明確化
企業
セクハラ、パワハラ |
残業、休日出勤 |
年次有給休暇 |
休職 |
雇い止め |
解雇 |
※ 法改正の観点も含めて、内部告発、労使トラブル、不利益変更などの問題を解決いたします。
当事務所が就業規則を作成する上で重要なポイントは次の3点と考えています。
時間外労働について十分意識されていること
残業のない会社は、まず存在しません。
労働基準法上では、「労働時間の長さ」に対して賃金を支払うことを原則としています。
最近では「労働の成果、質」に対して支払うことができる制度として専門業務型(企画業務型)の裁量労働制が法律に規定されましたが、職種や業務が限定されているなど要件が厳格な為、簡単に導入できるものではありません。依然として労働時間の長さに対して賃金を支払うことを前提として労働時間制度等を考える必要があります。
つまり、ある程度、残業時間を意識して賃金額を決定する必要があるのです。よく「残業時間込みで○○万円だよ」とか口頭だけで説明して採用することがあるかと思いますが、退職時に何らかのトラブルがあり遡及して残業代の請求をされた場合、法律上では「残業代が給与に含まれている」と反論することが難しいのが現状です。従業員全員が何の疑問や不満も持たなければ、この点については問題が顕在化されないでしょう。
ただし、現在のように終身雇用が崩壊し、転職が当たり前の時代ではなかなか通用しないものとなっています。そこで就業規則(賃金規程)を作成する場合には、この点を十分意識した規程にすることが重要になってきます。
いわゆる問題社員への対応、最近増加している精神疾患への対応等が十分意識されていること
「社員が何の連絡もなく無断欠勤している・・・」
「セクハラ(パワハラ)する社員がいる・・・」
「仕事中に仕事と関係ないインターネットや私的メールをしている・・・」
「だらだらと残業する社員がいるのだけれど・・・」
などなど会社から見るといわゆる問題社員と認められる社員への対応の仕方が日頃の労務管理では重要なポイントになります。
就業規則上では、当然のことながらこれらの事項について服務規律等で規定されていて懲戒規定とリンクしていることが必要になります。
また、最近では、「うつ病」などの精神疾患系の病気で会社を休むケースが多くなってきています。精神疾患の場合は、継続して会社を休んだりするケースだけではなく、欠勤あるいは遅刻早退等を断続的に繰り返しているケースが少なくありません。これまでの就業規則ですと「欠勤が連続して1ヵ月に達した場合、休職を命ずる」等となっており就業規則の規定上では休職を命ずることが困難な場合もあります。このような場合、「欠勤、遅刻早退等が断続的に続き、労務提供が不完全と認められるときは、休職を命ずる」としておくことにより、休職が命じやすくなります。就業規則の規定というのは、ここに記載してあるからこのような対応をしたといえる根拠規定になっていることが重要です。
給与計算の方法が賃金規程を見ると誰でもわかるようになっていること
「欠勤・遅刻・早退した場合」
「私用で外出した場合」
「時間外・休日勤務の時間外の計算方法」
「中途入社、中途退職の場合」
などなど給与の計算方法は、非常に細かい規定が必要になってきます。その場その場で計算するというようでは毎回計算方法が相違して運用上問題があるでしょう。
賃金規程というのは、労働条件の中でも最も重要な「賃金」を規程するものなので誰が計算しても毎回同じ結果になることが重要です。各種手当の支給条件や支給タイミング及び不支給事由、そのタイミングなども明確にしておく必要があります。
最近では、残業代を予め賃金の中に含めて支給するケースもありますが、込みにした残業時間数を超えた場合の残業代の計算方法にも留意しご提案させていただきます。